自転車で越えた天城山 (1983年の記録)




   まだ自転車で山を走り始めた駆け出しの頃の記録をまとめました。    こんな無計画で危なっかしい山岳ツーリングはお勧めいたしません(^^;   4/1  【真夜中のスタート】   夕方、大阪を鈍行列車で出て大垣へ。東京行の鈍行の夜行列車(今は「ムーンライトながら」なんて洒落た名前がついてる)   に乗り継いだ。最初はガラガラだった車中は、名古屋で勤め帰りの人がドドッと乗り込んで狭苦しくなる。   寝苦しい夜を耐え、真夜中2時前に沼津駅で下車。駅の待合室で夜明けまで仮眠しようとしたら、若いお巡りさんがやってきて   「もうここで長いのか」...ホームレスと間違えられたらしい(^^;    居心地が悪いので自転車を組み立て、真夜中の街へこぎ出した...  【天城峠】   沼津御用邸跡の横を抜け、海岸沿いに南へ。真っ暗で時々抜かしていく大型トラックにヒヤリとしながらの心細い走行になる。   修善寺から天城街道を南下。夜が明けて朝5時、全く人の気配の無い湯ヶ島温泉を通過。早朝肌寒い中、浄蓮の滝に立ち寄る。   まだ早朝、当時は24時間営業のコンビニなんてザラにあるはずも無く、非常食の買い出しも出来ぬまま(大失敗!)   天城山中へ。天城旧峠の砂利道へ入ると、すぐに川端康成の文学碑があった。  青年が踊り子一行と再会する峠の茶屋は   ここにあったんだろうか...とても感じのいい場所にあった。旧峠のトンネルには照明が無く、とても長い。   テレビドラマ「天城越え」(松本清張作品)で、少年が男を刺すシーンがこのトンネルの中だったことを思い出し、   怖くなって全速力で走り抜けた(^^;  【天城山越え】   峠道を少し下ると舗装道路になり、左に八丁池への道が分かれる。八丁池には朝9時前に着く。標高1170m。池の周りには   春の息吹を感じさせる草花、遠く富士山も望むとても静かな高台の別天地だった。ここから天城山の縦走路に入る。   最初のうちは平坦な道が続き、乗車して一気に戸塚峠に着く。ここから見上げる小岳の斜面の険しさにビビらされる(^^;   自転車をかついで進むうちにシャリバテになり、少し歩いては休みを繰り返しトロトロと牛歩戦術のようにゆっくり前進。   バテながらも時間をかけて何とか小岳を越えた。非常食を持っていないことがボディブローのように効いてきた(^^;   天城の主峰、万三郎岳、そして万二郎岳を越える。登頂気分を味わう余裕は無く、とにかく早く下界へ下りて飯をたらふく   食べたかった(^^;南方系の背の低い照葉樹林の中を進む道は感じか良い(もちろん、楽しむ余裕など無かったけれど...)   ぬかるんでいる所が多く、靴も足もドロドロになった。万二郎岳からは北へ下る。途中ガレが登山道を寸断している所もあり、   疲れきって平常心を失っていたので、けもの道に迷い込む恐れも十分ある中、何とか正しいルートを見つけて麓へ下る。   そしてこの山道、最後に登り返しがあった。空身なら何でもない坂だったろうけど、自転車を担いでいるので厳しい。   最後のパワー・気力を奪い取るのに十分だった(^^;でも何とか天城ゴルフ場前のバス停前に飛び出す。水道があったので   まずはガブ飲みした後、靴を洗い、汚れたズボンの上から雨合羽のズボンを穿いて走行再開!   時計を見るともう夕方の4時過ぎだ。6時間以上天城山中を彷徨っていた...別荘地の中、車止めが有って自転車   しか抜けられない近道を通り伊豆スカイラインに合流。「空室有り_国民宿舎中伊豆荘」 の看板を見て迷わず飛び込んだ。   風呂に入って汚れたズボンを洗い、丸一日ぶりの食事を平らげ、夕方6時半に就寝する。すぐに爆睡!   大阪 +++ 大垣 +++ 沼津 → 修善寺 → 湯ヶ島 → 天城峠(707m) → 八丁池(1170m) → 天城山(万三郎山)(1406m)                     → 天城高原ゴルフ場 → 国民宿舎/中伊豆荘(泊) 4/2  【国士越】   朝さわやかに目覚める。今日も快晴(^^)きのう丸一日自転車を担いでいたので上半身の節々が筋肉痛で痛んだ。   朝食をしっかりとってチェックアウト。伊豆スカイラインを北へ。すぐに左折し国士越(510m)へと向かう。   伊豆の山村を抜け、なだらかな坂道を登って何無く国士越に着いた。昨日の天城山越えに比べたら、   これぐらいの峠道は鼻歌交じりで越えられる。小鳥のさえずり、草花の芽吹く春独特のさわやかな匂い...   遠く富士山も望む素晴らしい峠だった...以前のままならまた走ってみたい(^^)  【仁科峠】   九十九折の坂を気持ちよく湯ヶ島へ下り、そのまま横切って仁科峠(900m)へと向かった。   この峠は湯ヶ島側から登れば坂が緩く、のんびり登って到着する。峠一帯は一面の草原、西伊豆の海岸線を望む   素晴らしい展望台、もちろん富士山も望むことが出来た(^^)  【南伊豆】   峠からは長い長い坂を松崎へ下る。海岸沿いの有料道路は工事中で通行できなかったので蛇石峠を越えて石廊崎へ。   伊豆半島最南端の岬、先端まで歩いて行ける。午後3時を回ったので宿を探す。岬から西へ海岸沿いを進み   小さな漁村、子浦の民宿に宿を取る。 海 市 子浦から落居辺りの海岸風景が印象的に描かれる     中伊豆荘 → 国士越 → 湯ヶ島 → 仁科峠 → 松崎 → 蛇石峠 → 石廊崎 → 子浦(民宿泊) 4/3  【伊豆西海岸】   朝民宿でゆっくり朝食を摂った後、走り出す。昨日越えた蛇石峠を再び越えて松崎へ。   今日も快晴(^^) 西伊豆の海岸線を近づく富士を楽しみながら走る。海岸線とはいえアップダウンが激しい。   土肥から戸田へは標高差200m以上の坂を越える必要があった。但し幹線ルートから外れているせいか   のんびりした雰囲気が漂い、満開の桜並木を抜ける楽しい道(^^) ...この道も以前のままなら   また走ってみたいな(^^) ...  【戸田】   坂を下って天然の入り江、戸田に着く。入り江の先に突き出た岬は、富士を望み桜の花咲くいいスポットである。   戸田は福永武彦の小説「草の花」に登場し、若者に宿る生の輝きを象徴するようにとても美しく描かれている。   持参した文庫本を開き、しばし小説世界へのタイムスリップを楽しんだ。  【戸田峠と達磨山】   戸田からは東の戸田峠(730m)を越える。とても登り応えの有る坂(><) でも峠から見下ろした戸田湾の眺めが素晴らしく、   サイクリストの苦労に応えてくれる。峠で西伊豆スカイライン方面から2人のサイクリストが下ってきた。   彼らは 「絶対達磨山(982m)へ行け!」 と強く勧めるので行ってみることに。西伊豆の海岸、駿河湾、富士を見渡す   素晴らしい展望で旅フィナーレにふさわしい(^^) 戸田峠から東の修善寺へ下り、海岸線を沼津へ戻った。   そして帰りも、ドン行大垣行を利用!大垣行きが沼津駅にやって来る深夜までの時間を風光明媚な千本松原で過ごす。   夜の海岸はアベックが多く、警邏するお巡りさんには出歯亀!と間違えられ(^^;ハプニング続出の旅を終えた...     子浦 → 蛇石峠 → 松崎 → 戸田 → 戸田峠(730m) → 達磨山(982m) → 修善寺 → 沼津 +++ 大垣 +++ 大阪
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